靴好きの人の間で人気のパラブーツ。
わたしもしばらく靴を扱う仕事をしていましたからその人気はよく分かります。
独特の存在感がありますからね、パラブーツって。「made in France」ってのも一役買っているのかもしれません。
でもシャンボードって実はすごく履く人の足を選ぶから、買うときにはくれぐれも気をつけましょうね。
・・・というのが今回のお話です。
シャンボードは甲が高い
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ひと言で言うとこれですね。
すごく甲が高い。そういう木型なんです。
幅はやや細めでとにかく甲が高い。
だから残念ながら甲の低い人は履けません。
え?
ちょっとぐらい大丈夫だろって?
・・・それね、
甘――――い!
シャンボードはそんな生易しい靴じゃありません。
フランス語が話せないとフランス人に相手してもらえないのと同じ。合わない足は徹底的に排除されます。
甲の低い人がシャンボードを履くとどうなるか
ここで言う甲が低い人とは実はわたしのこと。わたしの足はとっても甲が低いんです。
ご参考までにちょっとお見せしましょう。
・・・んな人の足なんて見たかねーよ!
という人はここで去ってもらってかまいません。決して美しいものじゃないですから。
でも、たとえ美しくないものを見ることになろうとも、シャンボードに合わない足とはどんな足か?を知りたいと思うのならこのまま見てください。一応、洗ってありますww
では、用意はいいですか?いきますよ?
◆足長 : 25.5㎝
お店ではこんな計り方しませんけどね、分かりやすいように。あと、見苦しいところにはモザイクをかけました。せめてものマナーww
◆足囲(ボールガース) : 23.5㎝
ボールガースというのは、靴好きな人なら知っていると思いますが、「ボールジョイント」部分のことです。親指側と小指側の出っ張ったところ。
◆足囲(ウエストガース) : 22.5㎝
ウエストガースはちょっと分かりにくいかもしれませんが、ボールジョイント部分よりもう少し土踏まずよりのところです。まあ、あんまり気にしなくてもいいです。
◆高さ : 4㎝くらい?
これは目安ということで。
実際、わたしはここがめちゃんこ薄いんです。たいていの靴は甲がベコベコになります。
では最後にもう一度まとめます。
- 足長 25.5㎝
- ボールガース 23.5㎝
- ウエストガース 22.5㎝
ではこの足がシャンボードを履くとどうなるのでしょうか?
ギリシャ型?エジプト型?形で変わる靴のサイズ
シャンボードに限ったことじゃなく、これは靴全般に通じる話なんですがちょっとだけ説明を追加します。
ギリシャ型?それともエジプト型?
◆ギリシャ型
人差し指がいちばん長い
◆エジプト型
親指がいちばん長い
何が言いたいのかというと、
足の形によって合う靴のサイズが変わることがある
ってことです。
というのも、さっき見てもらったようにわたしの足のサイズは25.5㎝です。
でも履いている靴はほとんど24.5です。リーガルのように大き目のものだと24.0もあります。
なぜそういうことが起こるかというと形がギリシャ型だから。
どういうことかというと、もう一度この画像を見てください。
ご覧のとおり人差し指がいちばん長くなっています。
ここで靴の形を思い出してください。
普通、靴の先端は真ん中よりやや内側、人差し指のあたりがいちばん長くなっています。
これはギリシャ型の足と同じ形ですよね?つまり足と靴の形が合っているんです。
これがエジプト型だとそうはいきません。親指がいちばん長いから靴の形とは合わない。
でも靴はエジプト型の足でも履けるようなサイズで作られていますから、その同じ靴をギリシャ型の足の人が履こうとすると大きく感じる。
だから、小さいサイズの靴でも履けてしまうんです。
もちろんすべてがそうとはいえません。靴のサイズ合わせにはこれ以外にも足幅の広さとか甲の高さとかいろいろな要因がありますからね。
ギリシャ型でも甲が高かったり幅が広かったりすればやはりそれなりのサイズが必要になることもあります。
ですが、甲が低くてしかもギリシャ型という人は実寸より小さいサイズが合うことが多いです。
だからわたしも足長は25.5㎝なのに実際に履く靴は24.5なんですね。
シャンボードの試し履き
これはパラブーツのサイズ表です。
UKサイズ センチ
5¹/₂ 24.0
6 24.5
6¹/₂ 25.0
7 25.5
7¹/₂ 26.0
8 26.5
8¹/₂ 27.0
これからすると、ふだん24.5の靴を履くわたしの場合、シャンボードだとUK6サイズと思われます。
☆こだわりたい人はこちらもどうぞ。
[広告]シャンボードUK6を履いてみる
このときはスーツだったのでパンツがいまいちですが、でもやはりシャンボードいいですね。
長さもちょうどいい。気持ちゆるいかなというくらいです。
が、しかし。
羽根がぴったんこ。
軽く締めただけで両の羽根がくっついています。
このあとさらにひもをギュッと締めたら羽根、重なりました。それ・・・
アウトォオォ———ッ!!!
つくくらいならギリギリセーフかなとも思いますが、重なっちゃいけないですよね。明らかにサイズが大きい。
実際、甲を触るとブカブカしています。
シャンボードUK5¹/₂を履いてみる
6では大きかった。
なら1つ下でイケると思いますよね?
ところがそうはいかないのがシャンボード。
5¹/₂を履いてみたら、
この写真じゃ分かりにくいんですが・・・
めちゃめちゃつま先当たってる!!
履いた瞬間分かります、あ、これダメだって。だって指先が丸まってますからね。ネコパンチみたいに。
でもせっかくだからと歩いてみたら・・・
痛いーっ!!!
つま先当たりまくり。痛いのなんの。
普通、試し履きのときって、
あれ・・・ちょっとつま先当たってっかな・・・?
みたいな感じで当たってるか当たってないかって微妙なところですよね?
でもシャンボードは違うんです。
全然微妙じゃない。がっつり当たってるんです。
だからすぐ分かります。
おまけにショッキングなことに5¹/₂にサイズ下げてもまだ羽根が閉じるという・・・
どんだけ甲高いんだ。っていうかわたしの甲が低すぎるのか。
とにかく合わない。
いやー、ムリです、これ。
結論:甲の低い足ではシャンボードを履けない
これが結論です。
薄っぺたい足の人はシャンボード履けません。
最近若い人は薄い足の人多いですからね。薄くて細い。中にはDウィズより細いって人もいてびっくりします。
まあ、細いのはともかく、薄いのはシャンボード向きじゃありません。
甲が余るから、とサイズを落としていくとどこかでつま先が当たる。そこでゲーム終了です。
中敷きって手もあるのかもしれませんが、あんまりおすすめしません。
シャンボードはコルク入ってませんがそれでもそれなりに沈みますからね。あと革も伸びます。
中敷きを入れてそのときは合っても、履いているうちにまた甲まわりが大きくなってきます。
甲が低い人にはアヴィニョンがおすすめ!
ここまで読んで残念ながら、
自分は甲が低くてダメなのか~っ!!
パラブーツ履きたいのに~っ!!
となったあなた、あきらめるのはまだ早いです。
甲が低い人にもおすすめできるパラブーツがあるのです。その名も、
アヴィニョン!
何もシャンボードだけがパラブーツじゃありません!
アヴィニョンだってじゅうぶんイケてます!じゅうぶんにパラブーツしてます!
ちなみに日本で一番人気があるのはシャンボードですが、
本国フランスではこのアヴィニョンがいちばん人気があるみたいですよ!
ヒョッホ———ッ!!!
シャンボードとアヴィニョンの違い
ポイントは「木型が違う」ということ。
- シャンボード 幅がややせまく甲が高い
- アヴィニョン 幅がやや広く甲が低い(低め)
簡単に言うとアヴィニョンのほうが横に広く薄いです。
薄いっていってもあくまでシャンボードと比べたら、です。
イタリアのベニーニョとかスペインのマグナーニとかと比べちゃいけません。あのへんは本当に薄いから。もっともマグナーニは甲が低ければ必ず合うというわけでもないんですが。
アヴィニョンUK6を履いてみる
んじゃまずUK6から。
・・・何これ?雪降ってたの?
・・・なわけはなくてこれはパラブーツ特有のロウ分の付着です。新しいパラブーツはこんなになっていることが多い。ので気にする必要ありません。
で、サイズは?
ちょっと大きいかな?という感じ。かかとがゆるい。
あと気になったのはここです。
羽根が閉じる。
やっぱり閉じちゃうんですよね~
まだそれほど強く紐を結んでいないのにくっついてます。シャンボードと同じできつく締めたら重なるでしょう。
アヴィニョンUK5¹/₂を履いてみる
シャンボードとの違いが分かります?よね?なんと・・・
羽根が開いてる。
同じ5¹/₂でもシャンボードは羽根が閉じちゃうんですがアヴィニョンは開いてます。それって・・・
ワンダフル――ッ!!
夢にまで見た羽根開き。
すばらしいよ、アヴィニョン!!
で、履いてみたサイズ感。
シャンボードのようには当たらない。
ってとこでしょうか。具体的には、
- 少し小指が当たる
- ただしシャンボードのようにがっつり当たるわけじゃない
履いた瞬間にダメと分かる当たり方じゃない、ということです。他の靴で悩むときと同じ感じ。
まあ、これはこれで迷うんですが。小指がぁ~、みたいな。
でもアヴィニョンはコルク入ってますからね。多少は沈むことを考えればこのサイズでいける気がします。
ただ5¹/₂のサイズってお店によってはないときもあります。そのへんが難しい。
ウィリアムもたしか同じ木型のはずだからウィリアムで試してみてもいいかもしれません。
甲が低いのならアヴィニョンがおすすめ
ということで、パラブーツが欲しいけど甲が低いというあなた。
アヴィニョンがあるさ!
いいですよ、アヴィニョン。
人気があるのはシャンボードですがムリして履いてもいいことないですからね。
あとシャンボードはやや細めだから足幅の広い人が履いていると、靴自体が横に広がって当初の形が崩れてくるってこともあります。
シャンボードって幅が細くて甲が高いという、縦に長い(深い)デザインだからかっこいいけど、横に広がってしまうとちょっと見た目の印象が変わります。ん?ってなる。カエル・・・?
・・・いきなりカエルを出してすみません。広がったシャンボードを見たときのわたしの勝手なイメージです。
できれば専用のシューツリーも買っておいたほうがいいでしょう。直営店ならあります。
直営店が近くになければこのへんでもいいかと。これならそこそこ高さがあります。
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というわけで、シャンボードを買おうかどうしようか迷っているあなた。
まずは自分の足と向き合いましょう。
甲がそこそこ高ければ、そしてすごい幅広ということでなければシャンボードOK♪
で、甲が低いという人は、残念ですがシャンボードのことは忘れましょう。
そしてアヴィニョンに恋しましょう。
きっとあなたのことを待ってますよ。
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