- 昔から靴が好きだ
- 紳士靴を扱う仕事に興味がある
- 靴の仕事ってどうなんだろう?
転職活動において、靴業界を考えている人もいるでしょう。
靴が好きだから靴の仕事をしてみたいけど、それだけの理由で希望してもいいものかな?実際、どんなことがよくてどんなことが大変なんだろう?
そんな疑問を感じているあなたに、元紳士靴の販売員だったわたしが「靴の仕事のいいところと悪いところ」をあますところなくお伝えします。
これを読んでぜひ今後の業種選択に役立ててください。そしてぜひ靴の仕事にチャレンジしてみてください。
靴の仕事7つのおすすめポイント
まず最初に靴の仕事をするときのメリットからお伝えします。
基本的には紳士靴の話です。婦人靴だとまたちょっと違うこともあるかと思いますのでその点はご了承ください。
1.靴にくわしくなれる
ごく控えめに言って、靴の仕事をするようになるとふつうの人の100倍靴に詳しくなることができます。
紳士靴は本当に奥の深い世界で、知れば知るほど分からないことが出てきます。どこまでいっても100%ということはありません。
だから毎日が勉強。
製法ひとつとっても驚くくらい多くの製法があります。製法による履き心地の違い、ケアの方法、修理の可否等。
それ以外にも覚えることは山のようにあり大変ですがこの勉強が楽しい。あなたが靴好きであるならばきっとそう感じられます。
靴の仕事の年数を重ねていくのに比例して、どんどん靴に詳しくなっていくのが分かります。気がついたら普通の人とはケタ違いの知識がついている自分に気づくでしょう。
2.靴の試し履きができる
自社で扱っている商品は当然、試し履きができます。足入れの感覚をお客様に説明するにも必要なことです。
もちろん新作も同様。新しい靴が入ってきたら皆、足を入れて感覚をつかんでいます。
あと、1つのブランドだけのショップでは無理ですが、いくつかの会社が入っているお店の場合、他の会社の靴も——その人たちの了承を得れば——履かせてもらうことができます。
他社のものなのでそんなに頻繁にというわけにはいきませんが、お互いに仲良くなっていれば足入れさせてもらうことは可能(のはず)です。
これが可能になると足入れできる靴の種類が飛躍的にふえます。
過度の期待は禁物ですが、うまくいけばいろいろな靴に足入れすることができる環境は靴好きの人にとっては至福の世界といえます。
3.靴を安く買える
自社の靴は安く手に入れることができます。
仕事で知り合った、輸入靴の会社に勤めている人も自社の商品は安く買えると話していました。
宣伝もかねて自分で履くこともあるから当然といえば当然ですね。海外の靴はそのままだと高いですから。
そんな高級な靴でなくても、靴の販売員にとって靴は消耗品ですから、安く買えることはありがたいですよね。
4.靴のフィッティングの技術が身につく
アパレル関係の既製品を扱う仕事の中では、紳士靴はもっとも技術者的な側面が大きいのではないでしょうか。
その理由は「フィッティングが必要であること」です。
靴の販売員になってまず最初に覚えるべきはこのフィッティングです。
靴のフィッティングは紛れもなくひとつの技術です。
上達するにはとにかく数をこなすしかありません。いろいろな靴を見て、いろいろな足を見て、お客様の声を聴いて、少しでもフィットする靴を提案していくわけですが、これが意外に難しい。
靴の世界ではよくあることなのですが、初心者のときのほうが売れたりするのです。
というのも最初は知識もないし、とにかく早く、とにかく元気よく、あとはお客様に言われるとおりに履かせたり脱がせたりしていれば、じゃあこれもらっとくよ、と決まったりします。が、靴の知識がついてくるにつれ、すすめるのに慎重になり、逆に売れなくなってしまうこともあるのです。
実はわたしも何も知らない初心者の時のほうがバンバン売れました。これなども靴の販売の面白い側面ですね。
また、実務経験を積めば「シューフィッター」の資格に挑戦することもできます。
やはりシューフィッターはまわりから一目置かれます。実際、ちょっとさわっただけで痛いところが分かったり、さすがだと思うことが何度もありました。
シューフィッターのさらに上級資格、バチェラーもあるのでやる気のある人はどんどん目指していけばいいでしょう。
5.シューケアにくわしくなる
シューケアにもめちゃくちゃくわしくなれます。基本的なやり方は完全に身につけることができます。
シューケア用品も非常にたくさんの種類があるので靴の状況によってそれらを使い分けることができるようにもなります。ちょっとした裏技的なことも覚えられますよ。
自分の靴を磨くのはもちろん、店頭に並んでいる商品を磨いたり、お客様がお買上げになるときに目の前で磨いたり。靴磨きって楽しいんですよね。
逆にそういうメーカーさん主催のシューケア研修に参加することもあります。靴好きな人なら絶対興味ある内容なのでおすすめです。
6.転職がしやすくなる
紳士靴の販売の技術が身につくと、結果的に転職がしやすくなります。もちろん同業ですよ?
他のアパレルでもそうなのかもしれませんが、靴は横のつながりが生まれやすいのでちょっとしたきっかけで会社を移ることも多いです。
中には日本の靴メーカーをやめてケア用品の会社に移った人もいましたね。
シューフィッターやバチェラーの資格はあればもちろん武器にはなりますがなくても何の問題もありません。
要はフィッティングとそれに伴う売る技術がありさえすればどこでも通用するのが靴の世界なんです。そういう意味では身につく技術があることは非常にプラスになりますね。
靴の仕事 3つのおすすめしづらいポイント
では逆に靴の仕事のおすすめしづらいところは何でしょうか?
1.給料が安い
のっけから「ガーン・・・!」となるようなことを伝えますが、そうです、靴業界は給料があまりよくありません。
これは日本のメーカー、海外のメーカー問わず、みな一応に給与水準は低いと思われます。
給料がもう少し高かったらなァ、という切実な声を聞いたこともありますし、ほとんどの人が特に贅沢もせず、質素な暮らしをしているようでした。言いすぎかな?別に貧乏というわけではないですからね。
ただ、販売力のある人はより高い給料を求めて別の会社に移っていっていますから、力があればステージを上げていくことは可能です。
2.体力が必要
靴が他のアパレル商品と違うのはこの点です。
- すべて箱に入っている
- サイズごとの必要在庫が膨大
商品が箱に入っていること、サイズ分けが細かいため、膨大な数のストックと広大なストック場が必要になるのです。
ストック場がすぐ近くにあればいいですが、そんな都合よくできている店ばかりではありません。
外国の靴などはすべてにシューキーパーが入っているものもあり、バカ重くて途中で放り出したくなりましたね(こらっ!)
ブラック的な会社もあるので注意
まれだとは思いますが、中には無茶な働かされ方をする会社もあるのでその点は注意してください。
ある人は主にバーゲンでの販売を中心とする靴の会社で働いていましたが、話を聞いているとふつうじゃありませんでした。
第一に休みが少なすぎ。第二に拘束時間が長すぎ。そして一人だけの過重労働。
もう完全にブラック。こんなところで働いていたら身がもたないと思いました。
なので労働環境については自分ひとりで判断せず、情報をちゃんと集めてから決めるようにしてください。
3.ズボンがすぐダメになる
ズボンはすぐダメになります。
なんせシューフィッティングは地面にはいつくばってやる仕事です。そのときの姿勢も決まりがあり、基本は片足は立てひざで、もう一方の足はひざを地面につけて行います。
間違っても両足を立てひざにしたウンコ座りでフィッティングしないようにと言われてました。
なので地面につけるほうのズボンにすぐ穴が開きます。わたしもあっというまに2本ダメにしました。
こればかりはしょうがないですね。いいズボンをはくのはよしたほうがいいでしょう。
番外:人の足元ばかり見るようになる
靴の仕事をするととにかく人の靴ばかり見るようになります。
仕事しているときからお客様が来たらまず見るのは靴。
店頭の販売員を見ていても皆かならずサッとお客様の靴に目を走らせます。見られているということを悟られないように一瞬の間に。
それなりの靴のお店に行った時は100%自分の靴は見られていると思ったほうがいいですね。
で、実はこのクセが靴の仕事をやめてからも抜けないのです。今は全く違う仕事なんですがいまだにお客様の靴を見てしまう。
いや、お客様に限らず、電車の中でも駅のホームでもつい見るのは人の靴ばかり。
でも面白いんですよね、靴って。その人の考え方が現れていたりするからついつい見てしまいます。
靴が好きなら靴の仕事、おすすめ!
ということで靴の仕事のメリット、デメリットを並べてみましたが、わたしの結論からいうと、
靴の仕事おすすめです!
給料の問題とか、体力的にきついとか、そりゃ気になることはありますが、でもやっぱり靴は面白いんですよね。
製法とかフィッティングとか本当に奥の深い世界ですし、極めるつもりになればどんどん深みにはまっていくことができます。
ひとつのことをとことん掘り下げたいタイプの人にはとても向いているアイテムといえます。
もしあなたが今、靴の仕事をしてみたいと考えているのなら、一度その情報を集めてみてはいかがでしょうか。
とはいっても、転職サイトを使って自分で探すというのはあまり効率的ではありません。
できれば「探す」の部分は省いて、「選ぶ」のほうに力を注ぎたいですよね。
であれば、転職エージェントを利用した方がより効率的に靴の仕事を見つけることができます。
ここではいくつかのエージェントを紹介します。複数のサービスに登録することで、より広い範囲からの情報が期待できるので、気になるところがあれば利用してみてください。
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転職サービス名 | 特徴 |
リクルートエージェント | 転職成功者数No.1 |
リクナビNEXT | 転職者の8割以上が登録しているといわれる定番の転職サイト |
転職サービスに登録してコンサルタントと面談することになったら、「靴の仕事を希望する」ということを明確にしてください。そうすればブレのない求職活動ができます。
先も触れたように靴の知識をつけるとどこの店でも働けるようになるため、靴業界ではわりと横の異動があったりします。それは言いかえると離職率が高いということにもなりますね。
その人手不足が表に出ていないことも多々ありますから、転職サービスを使ってよりよい情報を得られるようにしてみてください。
さいごに
以前、車検で自動車ディーラーを訪れた際、担当の営業さんが言ってました。
”もともと車が好きだったんですけど、車の営業になったら車が好きじゃなくなっちゃいました。”
好きなものを仕事にしちゃいけない、好きなものは趣味のままがいいですよ、という話でしたが、その後もその話が頭の中にこびりついていました。
こんなことを言うと、じゃあ靴も好きだけど仕事にしないほうがいいかな?と思ってしまいますよね?
でも・・・安心してください。
靴は仕事にしてもきらいになんかなりません。販売がいやになることはあるかもしれませんが、靴自体を嫌いになることはありません。
それが証拠に、わたしのいた職場でもみな靴の好きな人ばかりでした。
わたし自身、その前の営業の仕事より靴の仕事のほうが数倍楽しかったですね。
それだけ靴って面白いんです。
だからあなたが靴が好きで靴の仕事をしようかどうしようか迷っているならば、ぜひトライしてみてください。靴ワールドへ入ってみてください。
きっと新しい世界が開けますよ。
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